学校における「いじめ」
「いじめ」に該当するか否かは、主に、①「心理的又は物理的な影響を与える行為」か否か、また、②「児童等が心身の苦痛を感じているもの」か否かという観点から判断されます(いじめ防止対策推進法第2条参照)。
①でいう、「影響を与える行為」とは、「いじめ」と判断するために、行為が一方的、継続的、または強度であることまでは必要ないことを意味しており、要するに、幅広くいじめに当たるという意味です。また、②では、単に「苦痛を感じている」ことで足り、苦痛が深刻かどうかは関係ありません。いわゆる「いじり」のつもりであっても、いじられた側が心身の苦痛を感じれば、「いじめ」に該当するのです。
このように、法律上の「いじめ」は、従来の感覚よりも随分と広く捉えられています。このように捉えることで、学校による早期発見、被害の未然防止、事後の適切な対応を促進しようとしているのです。
ところが、いまだに「いじめ=悪質」という捉え方が強調されてしまい、「悪質でなければ、いじめではない」などと考えられてしまっているケースが数多く見受けられます。このことは、学校による対応が後手に回り、児童・生徒等の学習・成長が阻害され、学校をはじめとする教育機関等と児童・生徒・保護者等との信頼関係が損なわれる一つの大きな要因といえます。
以前と比べ、いじめ事案に関して法整備が進んだ昨今、学校等においては法の趣旨を踏まえた運用が期待されています。児童・生徒・保護者等としても、学校等に対し、法の趣旨に則った運用を求めることが大切であり、学校等との交渉が必要になる場面もあり得ます。場合によっては、交渉に際し、弁護士等を介した方が冷静に対話できることもありますので、そのような方法も考えてみてはいかがでしょうか。