職場の不正を内部告発した場合に保護されるのか ~公益通報者保護法~
Q:長年勤める会社で、不正が行われていることに気がついたのですが、誰も上部に言い出さず、何も手が打たれないため、ストレスを抱えています。会社の内部で動きがないのであれば、マスコミに伝えることも手段だと真剣に悩んでいますが、どのようなリスクがあるのでしょうか。
A:我が国では、企業の大小にかかわらず、企業内の不正に対する自浄作用が働きにくく、勇気ある従業員の内部告発によって、社会問題化することが多いのも事実です。
しかし、その様な行動に出た場合、会社から報復を受けたり、陰湿ないじめにあったり、不利益があるのも残念ながら事実です。そして、そのような事態は、民間企業のみならず、兵庫県庁や熊本県庁でも起きています。
一方で、このような勇気ある方による内部告発によって社会が正常化するのであれば、それは社会全体の利益ですから、その様な方の行動は保護されなければなりません。
公益通報者保護法は、我が国の約490の法律に違反する行為について、そのような事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する場合、企業に対して通報した場合には、そのような通報をしたことを理由とする解雇、降格、減給、退職金の不支給、その他不利益な取扱いを禁止しています。
ただ、本件のように企業内部に通報しただけでは改善されないのであれば、行政(監督官庁)やマスコミなどの第三者に通報する必要があります。この場合、企業内部に通報する場合よりも、より強い根拠が求められますので、事前に弁護士に相談されることをお勧めいたします。
また、実際には、「公益通報したこと」を理由にした不利益処分ではなく、別の事由に基づく不利益処分がなされることが大多数であるのが現実です。そのような場合に備えて、当初から弁護士とともに厳密に準備しておくべきでしょう。