米国でのプロベイト手続
日本と異なり、米国、英国、シンガポール、香港等では、相続について管理清算主義を採用しています。米国の例においては、エステート（Estate/相続財団）の最終的な分配（Distribution）には、プロベイト手続（Probate）が必要となります。
被相続人が米国に居住していた場合、現地での相続手続が必要になる場合がありますが、米国様式の遺言がない場合には、このプロベイト手続が必要な場合が多いと思われます。
州によってプロベイト法（Probate Code）が異なりますが、その概要については、模範法典（Model Probate Code/MPC）で参照でき、およそプロベイトには、（a） 正式な手続（Formal Administration）、（b）一定の資産額を下回る場合の簡易的な手続（Summary Administration）に加え、（c）州外被相続人の手続（AncillaryAdministration） に分類され、手続がスムーズに行われたとしても最低でも１年以上はかかると見た方が良いでしょう。
フロリダ州のプロベイト手続の流れ
大まかな流れですが、フロリダ州におけるプロベイト手続は次のような流れをたどります。
①手続開始の申し立て
② 人格代表者（Personal Representative/PR）の選任
③ 債権者に対する広告
④ 遺産目録（Inventory）の作成
⑤ 相続人の確定
⑥ ホームステッド条項等の免責による財団分離
⑦ 債権者への弁済
⑧ 確定申告（Final Tax Return）
⑨裁判所による分配命令
⑩財団の解散と人格代表者の解任
フロリダ州の場合、フロリダ州憲法Homestead Excemption条項が存在し、居住用家屋として裁判所から認定を受けると差押の対象から免責されるという決まりがあります。フロリダ州特有の権利といえます。※一定額の資産には課税されないという条文もまた同じくHomestead Excemptionの一つです。
SECTION 4. Homestead; exemptions（フロリダ州憲法第１０章第４条）
(a) There shall be exempt from forced sale under process of any court, and no judgment, decree or execution shall be a lien thereon, except for the payment of taxes and assessments thereon, obligations contracted for the purchase, improvement or repair thereof, or obligations contracted for house, field or other labor performed on the realty, the following property owned by a natural person:
(1) a homestead, if located outside a municipality, to the extent of one hundred sixty acres of contiguous land and improvements thereon, which shall not be reduced without the owner’s consent by reason of subsequent inclusion in a municipality; or if located within a municipality, to the extent of one-half acre of contiguous land, upon which the exemption shall be limited to the residence of the owner or the owner’s family;
この条文によって、プロベイト手続の中で、Protected Homestead Real Propertyの認定を受けるべく申立てを行うことで、相続債務から不動産を守ることができます。
フロリダ州の相続については、フロリダ州の弁護士に依頼する必要があります。
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