解雇に対する制限
解雇は、労働者の経済基盤を喪失させてしまうものなので、法令上、様々な制限がなされています。
重要な制限のひとつとして、解雇の理由・態様についての制限があります。
たとえば、業務上の傷病による休業期間中やその後30日間は、解雇が禁止されます(労働基準法19条)。また、妊娠、出産、育児・介護休業の取得などを理由(契機)とする解雇も、原則として無効です(男女雇用機会均等法9条、育児介護休業法10条など)。
さらに、このような個別法令の規定がない場合であっても、解雇が「客観的に合理的な理由を欠く」か又は「社会通念上相当と認められない」場合などは、無効とされます(労働契約法16条など)。そのような解雇として問題になる類型としては、能力不足を理由とするもの、経営上必要な人員削減のためのもの(いわゆる整理解雇)、企業秩序違反を理由とするもの(懲戒解雇)などがあり、解雇の種類によって、解雇が有効か否かの判断方法にも違いがあります。
また、期間の定めがある雇用契約(有期契約)については、解雇に「やむを得ない事由」が必要であり(民法628条、労働契約法17条)、一層厳しく制限されています。
以上のほか、解雇の方式にも制限があります。
たとえば、会社は、原則として、少なくとも30日前に解雇予告を行う義務を負っており、即時解雇を行うためには予告手当を支払う必要があります(労働基準法20条)。
解雇がこれら法令上の制限に違反しているか否かの判断や、違反している場合にとりうる手段などは、個別の事情によっても異なります。ですので、解雇を言い渡され、ご自身に対する解雇がこうした制限に違反しているのではないかと疑問に思われている、あるいは、今後の対応に不安を感じられている場合には、弁護士にご相談いただければと思います。